1.05.2018

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
2018年もどうぞよろしくお願いいたします。

約1年ぶりの更新です。
昨年のニュースを含め、できるだけ更新していこうと思います。
久しぶりなので手順を半分忘れてる・・・・まずいなぁ(冷汗)。がんばります。

3.01.2017

子ども時代には


2月の半ばに、編集者の方から佐藤さとるさんの訃報を聞きました。佐藤さとるさんは、『だれも知らない小さな国』を書かれた有名な児童文学作家です。コロボックルのお話といえば、子どもの本に詳しくない方でもどこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ここ数か月の間に、谷口ジローさん、原田治さんの訃報がつづき、茫然としていたが、そこに追い打ちをかけるような、佐藤さとるさんの死。すぐその後に うさこちゃんのブルーナーの訃報がWebのニュースサイトに流れ、こちらもショックだったのですが、佐藤さとるさんの訃報は、ゆっくりとシミが広がるように、日に日に心が重くなり、気持ちが沈んでしまいました。

わたしは、佐藤さんに直接お会いしたことはありません。小学生のころコロボックル物語に夢中になった一読者です。そのころ、わたしの住む東京都国立市(くにたちし)には、独立した図書館がなく(国立市中央図書館の開館は、1974年)、福祉会館内に児童図書室がありました。そこで見つけた『豆つぶほどのちいさないぬ』のタイトルに魅かれて手に取った本が、佐藤さんの作品との出会いでした。村上勉さんの絵も大事なポイントでした。細い線がなめらかに走るペン画。挿絵の中の豆つぶのような小さな犬が自分の手のひらの上で走り回る姿を夢想しました。

あの頃の、ゆったりした時間。「ちいさな国」の世界にどっぷり浸りきって楽しんだあの時間。当時子どもだったわたしは、なんて贅沢な時間をすごしていたのだろうと改めて思います。『だれも知らない小さな国』は、わたしの生きてきた時間と空間の大切な一部分に、しっかりと根付いています。

2011年3月11日からもうすぐ6年になります。
この6年の間に、世の中に広がる増悪の感情がますます拡大しているように思えます。瞬時に、何が得か、どうしたら自己防衛できるか判断して、強い人間にはすり寄る。弱い人間にはその弱点を突き回して、自分の優位性をアピールする。
こんなことが、あっけらかんと公共の場でひろうされ、多くの人々の喝采を受けます。
これって、人間の本性なのでしょうか。だけど、以前は、こんな思考や行為は、恥ずかしい事ではなかったでしょうか。昔は、勝ち負けや上下だけではない価値観にも、もっと重きが置かれていたと思うのは、当時のわたしがまだ子どもだったからでしょうか。

世の中に不穏な空気が広がっているこの時に、佐藤さとるさんが逝ってしまったことが、わたしには何かの象徴のように感じられ、おそろしくなりました。この先、世界はどうなってしまうのだろう。
ただ、それでも、『だれも知らない小さな国』が消えていないことは希望です。
なぜなら、憎しみに立ち向かえるのは、最後は、ひとりひとりの心の豊かさだと信じるからです。佐藤さとるさんご自身はもうこの世に存在していないけれど、佐藤さんが紡がれた物語の世界は、わたしを含め、読者の心の中に消えずに残っています。
子どもを、競争(勝ち負けや差別)から解放すべきです。子ども時代には、物ごとをじっと観察したり、じっくり空想にひたったり、好きなことにとことん集中できる時間が大切だとわたしは思います。


お知らせが遅くなってしまいましたが、南青山のPinpoint Galleryで開かれている「復刻名画 キネマトグラフ」100人展に参加しています。期間は、2月20日~3月11日。
わたしは、ギリシアのテオ・アンゲロプロス監督の「霧の中の風景」をテーマに絵を描きました。


ヨーロッパ共同体などまだなく、国と国との間で国境の検問がおこなわれていた頃のギリシアが舞台。母親に「父親はドイツの出稼ぎにいって帰らない」と聞かされていた姉弟が、ふたりだけで父親に会いに、ドイツへと旅立つお話です。
寒々とした悲しい映画ですが、夢なのか現実なのかわからない印象的な場面がたくさん出てきます。わたしには、二人の前に突然あらわれる象徴的な風景が、子どもたちの前に立ちはだかる残酷な大人の現実に見えました。

この展示では、100人のイラストレーターが自分の好きな映画をテーマに小品を描いています。作家さんの想いがこもった映画の世界は、それぞれとても魅力的です。
どうぞお時間を作って観に行かれることをお勧めします。
詳しくは、ギャラリーのHPをご覧ください。
「復刻名画 Pinpoint キネマトグラフ」展







1.09.2017

寒波と共に

ヨーロッパは、年明けからきびしい寒波に見舞われています。
わたしの住む街ペジノクでは、週末の日中気温がマイナス10度ちかく、夜間はマイナス15度前後にまで下がりました。地域によっては、マイナス20度以下になったところもあります。こんな極寒の冬はひさしぶりです。
ハルのお散歩コースの小川も表面が凍りつきました。



1月7日は、なんと!この厳しい寒さの中、日本に高校留学していた娘が、プログラムを終えてスロヴァキアに帰ってくる日。
ちなみに、7日のヨーロッパ気温図は以下です😄


数字が小さくて読みづらいとは思いますが、北極から非常に冷たい空気が、ヨーロッパになだれ込んでいる様子がおわかりいただけると思います。
幸い当日は、天候は良好で、大雪や吹雪になることはなく、娘を迎えに空港まで高速を走る車も、フランクフルト経由でウィーン空港に到着した飛行機も、混乱することはありませんでした。

娘は,去年の3月末から10か月間、日本の広島市の高校に通っていました。
YFU(Young for Understanding)という高校生留学派遣プログラムを支援する国際交流団体を通し、スロヴァキア人としての留学です。
このプログラムは、国を選ぶことはできても、国内のどこへいくのか、どの高校で勉強するのかは、留学生を受け入れてくれるホストファミリーの条件に一任することになります。
七海子は、広島市のホストファミリーのお宅に暮らし、その家の娘さんが通う広島市立舟入(ふないり)高校で、一・二学期間勉強しました。
日本の印象や体験など、どんな話が聞けるのか、わたしはとても楽しみにしています。おもしろい話があったら、このブログでも、すこしずつ紹介していきますね。お楽しみに。



ウィーン空港の入国ゲートで今か今かと待っていると・・・・・・・・あっ、出て来ました!


なんだか、出発前とちっとも変っていないなぁ・・・・・・。
外見だけかな・・・中身はどうだろう・・・・・・。

並んでいっしょに出てきたのは、やはりYFUのプログラムで大阪に留学していたスロヴァキア人のカトカさんでした。帰りの飛行機のなかでずっとお喋りしていたそうです。
ふたりとも無事帰国して、よかった、よかった。

カトカさんは迎えにきていたご両親と、これからブラチスラヴァ中央駅を夜中に出る寝台車に乗って、東スロヴァキアの街に帰るのだそうです。私たちの車にいっしょに乗ってブラチスラヴァへ行き、駅前で別れました。
ブラチスラヴァ中央駅からペジノクまでは、車で30分です。

家について、夕ご飯を食べた娘は、荷物もあけず、早々に自分の部屋のベットで眠ってしまいました。夫とわたしは、台所ですこしおしゃべりしながら、ホッとした時間を共有しました。

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翌朝は、時差ぼけで早朝に目が覚めた娘と、10か月ぶりにいっしょにハルの散歩。
早朝の気温は、マイナス13度でした。



野原で凍ったローズヒップの実を食べている娘です。
ひさしぶりに野原で食べるスロヴァキアの実り。どんな味がしたでしょうか。


雪の上を歩いていると、ハルの足のウラの毛に雪玉がついてしまいます。足のウラの熱で雪が溶け、それが小石のようにかたまってくっついてしまうのです。。散歩の途中で、ハルが困ったような顔をして動かなくなったら、助けてあげなければなりません。でも雪玉はなかなか取れません。無理にひっぱると痛いらしいので、手の熱で溶かしながら取ってあげます。
でも、あんまり気持ちの良いものではないみたい・・・・。


きびしい寒さの中、小鳥のエサ台にはいろいろな種類の鳥がやってきます。
シジュウガラはひまわりの種が大好き。スズメは雑穀をついばんでいきます。
そして、このところの厳寒対策で、刻んだ牛脂ものせてみると、カササギが見つけて飛んできました。2年前からこの近所に住みだした家族のカササギです。そんなに一度にくわえて欲張りだなぁ。




でも、今週の水曜日にはまた気温が下がるらしいです。
お互いしっかり食べて、この寒さを乗り切ろう!(って言ってると体重増えてしまうんですよね)








1.01.2017

2017年1月1日


2017年が明けました。
日本で初日の出をかざった太陽が、スロヴァキアに8時間遅れで到着しました。



大晦日のカウントダウン後、日付がかわり、おきまりの花火大会でスロヴァキアの2017年が明けました。ペテルとわたしは、友人のイゴールさん宅のホームパーティーによばれて、友人たちといっしょに2016年が暮れてゆく時間を過ごしました。


そして、夜が明けて・・・・・


朝はいつものようにハルの散歩です。外気温はマイナス5度。わたしはもこもこ重ね着をし、帽子やマフラーでしっかり防寒し外にでてきたのに、犬は室内と同じかっこうで飛び出していきます。よく考えると、裸足なのですよね、犬って。野原につづくカチコチに凍った道を元気に走ってます。

霧につつまれた野原は、霜のついた木や枯草がガラス細工のように見えます。




野ばらの実、ローズヒップも凍っています。



駆けまわっているハルの耳の毛にも霜がつきはじめます。


走るたびにヒラヒラゆれるシッポの毛も霜つき。
それでも洋服なしに元気に走り回れるって、ミラクルです。でも、人間だって顔は防寒しなくても、室内と同じむきだしで大丈夫です。鍛えれば大丈夫ってことでしょうか・・・。


野ばらの枝に鳥が止まっていました。


スロヴァキア語でドロスト(Drozd)、和名は、クロウタドリです。英語だとブラックバード。ビートルズの楽曲の題名にも使われているこの鳥は、とても歌がじょうずです。複雑な鳴き方をするし、九官鳥のように他の鳥の歌のメロディーをまねることも得意です。
写真は雄鳥。雌は灰がかった茶色をしています。春になって人々が畑を耕しはじめると、その後について回り、土の中からミミズをつまみ出していく、愛嬌のある鳥。
今年は酉年。ドロストくん、冬のきびしい寒さを乗り切ってね。

友人宅でたのしくおしゃべりをしながら過ごした大晦日でしたが、わたしは内心、何事も起こりませんように・・・・・・と祈っていました。
去年のこの時期、ご存じのようにドイツのケルンで、集団暴行事件が起きました。大晦日の夜に大勢の若い男たち(大半を難民がしめる)が、新年を祝うために街へとくりだした女性たちに窃盗や性的暴行を働いた事件です。また、12月20日には、ベルリンのクリスマス市場に大型トラックが突っ込む悲惨なテロがおきました。

このような事件がどこかで起きるたびに、これまで、「人道」とか「理想」とかを健気に守ろうとしてきた人々の心にも、ひずみが生じ、軋みだしてしまうような不安を感じます。
今回、大晦日の夜に欧州では大きな事件が起きませんでしたが、残念なことに、トルコのイスタンブールでは、銃乱射事件がおきてしまいました。
わたし自身は、激しく変化していく社会の中で、家族を守りながら、この先、どこまで、どのように生きていけるのだろう。今は理想を抱きかかえているけれど、頭でっかちなわたしは、いつかそれを投げ捨ててしまうかもしれない。


ハルの散歩から家へと向かう途中、教会の鐘の音が聞こえてきました。
日曜日の礼拝に行く人々が、我が家の近くの小さな教会に集まってきています。

野原には、けものが通ったあと、枯草がひしゃげて道のようになっているところがいくつもあります。けものみちというには、まだ充分ではないけれど、そういう場所は動物にも人間にも歩きやすいから、みんなが歩いて、歩いているうちに道らしくなっていきます。
けものも人もいっしょに歩いて、すこしずつ道ができていく。そうやって生きていけたらいいなとわたしは思うのです。
そんな一年になりますように。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。











12.31.2016

12月31日


もう2016年もおしまいなのに、わたしは、思うように進まない絵本のラフ作りをしています。
えんぴつで描いては、消しゴムで消し、描いては消し・・・・・・・・・・・・。

今年は、クリスマスになにもしませんでした。
いつもだったら、クリスマスツリーを立てて、飾りつけして、夫や娘のためにプレゼントを用意したり、クリスマスディナーを作ったりするのだけど、今年はなにもしませんでした。

24日のイヴは、町中が霧につつまれていて、我が家の窓から見えるクルミの木が聖なる日にふさわしく見えました。静かな静かなクリスマスです。




年末のPinpoint Galleryでの「こけし展」は、おかげさまで、こけしちゃんは二人とも嫁ぎ先が決まりました。観に行ってくださった方、どうもありがとうございます。


今回、はじめて「こけし展」に参加して、自分でも可笑しくなってしまったことがひとつ。
自分でも自分がこんな気持ちになるなんて思いもしなかったのですが、作品がこけし(人形)ということで・・・それも二体だったからか、箱に入れて送り出したのに、私の頭の中では、二体は「飛行機に乗って二人旅」のイメージがどんどんふくらみ、日本に着いてからのかれらが気になって仕方ありませんでした。
以下は、私のフェイスブックに書いた投稿のテキスト。

こけしちゃんの二人旅。無事、目的地のPinpoint Galleryに到着しました。途中、空港の出国手続きでは、コートを脱げだのほっかむりを取れだのあれこれ言われ係員をてこずらせたそうです。空港内では買い物にあけくれ(お嬢さまが香水を欲しがった・・)搭乗時間に間に合わず、アナウンスされてしまったとか。二人で必死に走ったそうです。入国審査はわりとすんなり・・・・だけど、このふたり、パスポート忘れて行ったんですよね。違法滞在??

二人のイメージは、郵便屋さんと手紙を待つお嬢さんでした。お嬢さんは、ほのかな恋心を郵便屋さんにいだいていたようですが、どうやらこの恋ははかなく終わり、二人は別々の場所へと旅立つことになったようです。しばらくは、お互い後ろ尻尾を引かれる気持ちで、夜空を見上げるでしょうが、新しい生活の中、きっと別の出会いを見つけることでしょう。日本の黒髪のこけしさんと恋に落ちるかもしれません。

あぁ・・・・こんな妄想を楽しんでいるから、なかなか新しいラフが進まないのですよね。
がんばらないと~。

今日のクルミの木はこんなです。ここ数日あたたかく雪はすっかり溶けてしまいました。



ご近所さんの煙突。薪ストーブの煙が見えます。

なんだか、ちっとも大晦日らしくないブログで情けないですが、新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。










12.11.2016

クリスマスマーケット2016


スロヴァキア在住の友だちに頼んで、親子でクリスマスマーケットを楽しんでいる姿の写真を撮らせてもらいました。ここは、ブラチスラヴァの中央広場です。
女の子は、つい先日4歳になったばかりのKちゃんです。Kちゃん、Mさん、モデルをどうぞよろしく!


わたしの娘はもう17歳です。もう何年か前に、わたしの背丈を追いこしました。
今回、写真を撮っていて、あらためて、4歳の子ってこんなに小さいんだって思いました。お母さんに抱っこしてもらわないと、お店で売っているものが見えないよ。


そうか、そうか・・・・・・うちの子もこんな時があったんだよなぁ・・・・・・しみじみ。


背中のリュックには、どこにでも連れていくお気に入りのうさちゃんが入っています。
このうさちゃんは、もともとKちゃんのお兄ちゃんのお気に入りだったそうです。

うちの子も保育園に通っていたころ、白い犬のぬいぐるみがお気に入りで、「わんわん」と名付け、どこに行くときも抱えて連れていってたなぁ・・・・・・・・・・・・しみじみ。


これは、焼き栗屋さん。Kちゃんの真剣なまなざし・・・。


ほら、こんなふうに、紙袋にいれて渡してくれます。
紙をとおして、アツアツの焼き栗の熱が手に伝わってきます。
お母さんが皮をむいてくれた焼き栗を、Kちゃんは大事そうに味わってました。

焼き栗を食べて、さぁ、おうちに帰ろうか。
Kちゃん、Mさん、おつかれさま。どうもありがとうございました。
お父さんとお兄ちゃんが待つ家に帰る車の中で、Kちゃんは「ジングルベル~、鈴がなる~」と唄ってました。

クリスマスマーケットのおまけ画像:
アイシングでデコレーションされた蜂蜜入りクッキー(Medovníky)です。


ピカチュー、なんだかこわい・・・・。

12.02.2016

こけし展

まぁ、なんと長いこと、ブログアップをほったらかしにしていたのでしょう・・・・ごめんなさい。
アップの仕方の記憶も危ういですが、久々のアップです。


「こけし WONDER DOLL 展」に出品します。
12月12日(月)~24日(土)、南青山のPinpoint Gallery で開かれます。
http://www.pinpointgallery.com/cn9/cn106/cn109/pg1613.html


こけし展への参加ははじめてです。
こけしに絵を描いたのもはじめて。
そうそうたる作家さんたちの作品といっしょに並べてもらうって、やはり相当なプレッシャー。
どんなこけしにしょうかなーと考えて、やっぱりキツネにしました。


鼻は、木片を彫刻刀でけずって、貼り付けました。
このキツネは、「手紙待つお嬢さん」です。

そして、もう一体は、そうです、「郵便屋さん」です。



帽子についているのは、ヨーロッパの国々でよく見かけるラッパの郵便局マークです。

お嬢さんは、郵便屋さんの運んでくる手紙をまっているのかしら? それとも、手紙を運んでくる郵便屋さん自身を待っているのかしら・・・・・?
クリスマスのプレゼントに、この意味深なキツネこけしはいかがでしょう。

12月1日(月)からはじまる「こけし WONDER DOLL」展、どうぞ覗いてみてくださいね。